包丁を選ぶ知識

ここでは普通の家庭で使う良い包丁の話題を扱います。
ですから、きわめて専門的な話はありませんが、家庭料理のことでは役に立つと思います。

包丁の種類

包丁の種類や材質には、様々な物があります。形も色々な物があります。
プロであれば別ですが、普通はそれほどの種類は必要ありません。
むしろ、うまい人は一つの包丁で色々なことをします。

普通の家庭であれば、三徳包丁か、又は牛刀がまず必要でしょう。刃渡りは18センチ前後。
小柄な女性であれば、15センチ前後の方が使いやすいかも知れません。しかし、大きな物を切るには少しつらいかも知れません。

次にもし出来たら、刃渡り10センチ程度のぺティナイフがもう一本あれば、果物の皮むきなどに便利です。後述しますが、皮むきにはピラーのほうが適切かも知れません。

そして、魚などを捌くことがあるのなら、小出刃が一本あると非常に楽です。
家庭で使うなら、それほど頻繁ではないと思いますので、安い小出刃(3~5千円)で十分です。安い物はすぐに切れなくなりますが、研げば又切れます。私はもう少し良い物を使っていますが、わりと捌くのなら、それに応じて勘案して下さい。

この一本か、二本か、三本、普通であれば、これで十分です。菜切り包丁や中華包丁などは普通は要りません。私は基本的には三徳と小出刃の二本で何でもします。

包丁の材質

包丁の材質も様々です。

しかし、材質と言うのはそう反する要素の強い物です。硬くないと切れません。しかし、硬い材質は欠けやすく、柔らかな材質はすぐに切れなくなります。また、硬い材質は研ぎにくく、柔らかな材質は研ぎ易いですが、すぐにまた研がないといけません。
やはり、鋼(はがね)が最高の材質ですが、手入れが悪いと錆びます。

これは、好みとも言えますが、安い材質の物は使わないでください。切れない包丁ほど疲れやすく、危険なものはありません。料理もまずくなります。

家庭で使うのなら、プロが使うような包丁は薦めません。良い包丁と言うのは、プロが使う物と、家庭で使う物は別と言うことを覚えておいてください。

ただし、定期的に手入れが出来るのなら、ちゃんとした砥石で定期的に研いでくれる人がいるのなら、鋼(はがね)の和包丁の良い物を買ってください。これに勝る切れ味はありません。良い和包丁は包丁の重みで切れます。ですから疲れません。
鋼の種類も色々ありますし、製造元も様々ですが、一本一万円程度の物なら、家庭で使うには十分でしょう。

しかし、家庭では普通はメンテナンスも最低限で済ませたいと思います。研ぎやすく、錆びない物が一番です。
ステンレスは錆びにくく良い材質ですが、柔らかくて包丁には向きません。鋼をステンレスで挟んだ、割り込みの包丁はまず選択肢になります。

次にステンレスにモリブデンを混ぜると堅さが出ます。バナジウムを混ぜると粘りが出ます。こういったステンレス(医療用のメスの材質)の包丁も良い選択です。
他にはクロムを多くしたり、タングステンを混ぜたりします。ステンレス鋼にも様々なものがありますが、錆びにくく切れるものは、やはりある程度、高価な合金になります。

ちなみに炭素(カーボン)を多くすれば(SUS420J2など)安価でもわりと切れるステンレス包丁が出来ますが、焼き入れすると錆びやすくなります。これはステンレスとは言えません。(ある有名なドイツのメーカーが実はこれです。長く使うと錆のまだらの汚れが出て汚くなります。)中国製の多くの素材も安価なSUS400番系(444等は除く)です。
千円、二千円程度で売っているステンレス包丁は、ステンレスとも言えず、包丁とも言えません。ステンレスとは、ステン(錆び、汚れ)レス(無し)ですから。

セラミックの包丁もあります。非常に硬い材質で錆びません。切れ味も良いです。
ただし、基本的に家庭では研ぎにくいので使い捨てになりがちです。また折れやすく欠けやすいです。ただし、切れ味はかなり長続き(一、二年も)しますので、良い選択肢だと思います。セラミックの良いところは、金属臭が食べ物に移らないことです。
(セラミックを研げるシャープナーは下記で紹介します)

包丁の選択

基本的には日本のメーカーの包丁をお薦めします。
これは日本の刃物の技術は世界的であることと、やはり日本料理に合った形状や日本人の手になじむ、使いやすく疲れにくい物が多いからです。

普通に家庭で使うなら、値段的には五千円以上、一万円ぐらいで良いでしょう。千円以下でも包丁はありますが、やはり安い刃物はそれなりの物です。切れ味を比べてみればまるで別物です。
また、良い包丁は大事に使えば一生持ちます。
何万円もする包丁は、特殊なプロ用です。出荷時には本刃付けもしていませんので、始めにちゃんと研がなければ、むしろ切れません。

お勧め包丁例

もろろん、レストランなどでも使いますが、世界的に有名な日本のステンレス包丁は、グローバルです。
柄も本体と一体化したのはグローバルが世界で最初です。ですから、柄もステンレスで衛生的ですし、一体成形で柄が取れません。
これはあまりに有名なので、もう一つお勧めを上げておきます。

私も使っている、柳宗理です。こちらも知っている方は知っていますね。有名な工業デザイナーです。
オリンピックの聖火台のデザインなどもしていますが、キッチン用品のデザインも数多く手がけ、疲れにくく使いやすさを重視したデザインには定評があります。これも柄もステンレスで一体ものです。重量バランスを考えて作られています。切れ味そのものは、グローバルが上でしょう。

セラミック包丁の推薦も上げておきます。やはり京セラの物が良いようです。その中でも、セラミックの欠けやすさを防いだ、ハイクオリティバージョンを紹介しておきます。
京セラハイクオリティバージョン

和包丁

やはり本格的な鋼の和包丁は、しっかりと砥石で手入れをしないと、よく切れませんし、錆びます。
家庭ではやや使いにくいと思いますが、本格的な切れ味が欲しい方に、紹介だけしておきます。こちらも銘柄は優秀な様々なものがありますので、一つに絞れません。

安来鋼(ヤスキハガネ)白紙、青紙、銀紙の各シリーズを使った物を紹介しておきます。安来鋼は日立金属が先端技術で開発した優秀な鋼です。
安来鋼(ヤスキハガネ)を使った和包丁例

青紙シリーズはクロムを含んだ最高級鋼でプロがよく使います(硬く手入れが少し大変)。白紙シリーズは合金ではなく、作る鍛冶職人の腕で優劣が出やすいです。日本刀の伝統の素材、玉鋼に近いのがこれです。

銀紙シリーズがステンレス鋼です。グローバルなどもたぶんこれです。包丁でよく使われる銀紙三号は、成分も一部を除いて非公開になっています。黄紙シリーズははさみによく使われます。一号、二号というのは、硬い方(炭素が多い、銀紙除く)から一号、二号です。

他にも日本には優秀な鋼がありますが、安来鋼が有力な刃物ブランド(海外も含む)では一番使われていると思います。海外にもスウェーデン鋼などを始め、有名で優秀な鋼がありますが、ほとんどのものが日本の鋼にはやはり見劣りする感じです(計測データー的に)。

製造方法は手作りの和式法が一番切れ味が鋭くなります。私の記憶が確かなら、、、「料理の鉄人」で使われていたのは、「堺の包丁」です。

家庭で使う本格和包丁なら

家庭でもわりと使い易く、和包丁の切れ味を少しでも体感したいなら、錆びない安来鋼銀紙三号(通称銀三)を使った物で、手作りの物をお勧めします。銀紙3号使用包丁例 一生持ちます(柄が取れたら、ホームセンターで柄だけ買います)
こちらは、女性向きに作ってある銀3和包丁です。

ピーラー

又、すべてを包丁で行う必要もありません。皮むきなどは、ピーラーの方が簡単で速くできます。しかし、これも100円ショップで売っているような安物は感心しません。良い包丁を使う方はピーラーも良い物を使います。

私も使っている物を一つだけ紹介します。貝印のSELECT 100 T型ピーラー安物とはまるで別物で、滑るような切れ味は感動すると思います。もっと良い物はありますが、ピーラーは研ぐのが面倒ですので、どうしてもやがて切れなくなり買い換え(数年)になりますので、このぐらいの値段のものが相応しいと思います。

切れ味が劣りますが、セラミックピーラーも選択肢の1つです。どうせ研ぎにくいなら、研げない分、持ちが良いものをと言う観点です。知らぬ間に、セラミックピーラーも安くなりました。京セラセラミックピーラー

包丁の研ぎ方

どんなに良い包丁でも、やがて切れなくなりますので、研ぐと言う行為は必要です。
基本的には、しっかり研げば、切れない包丁と言う物はありません。悪い物はすぐに切れなくなるだけの話です。又、切れ味が長く続く物ほど、研ぎにくいのは言うまでもありません。

砥石

研ぐには、本当は砥石が一番です。これは余程の安物で無い限り、どんな砥石でもかまいません。
家庭で使うなら、中研ぎと、仕上げ砥石で十分です。荒研ぎは必要ありません。
少し慣れが必要ですが、基本的には上手下手があっても、誰でも研げます。色々な砥石

シャープナー

しかし、やはり砥石は面倒だという事はありますよね。

そんな方には、包丁研ぎ器、シャープナーが良いでしょう。しかし、100円ショップで売っているようなものは、絶対に止めてください。せっかく良い包丁を買っても包丁が台無しです。砥石がV字型に配置されている物でなく、出来れば側面から挟み込むタイプにしてください。

ほんの少し高いですが、京セラのセラミックロールシャープナーがお勧めです。
もう少し高いですが、京セラ電動ダイアモンドシャープナーこちらはセラミック包丁も研げます。

基本的には包丁メーカーが推奨しているシャープナーがあれば、それに従ってください。ただし、前項の二つは多くのメーカーで推奨されているものです。

やはりシャープナーは砥石のようには研げませんので、少し頻繁に使用する必要があります。
まれに砥石で研いで、普段はシャープナーを使うと言うのが家庭では一番良いでしょう。もちろん、切れ味を追い求めなければ、良いシャープナーだけでも十分です。

まな板

まな板は、柔らかさから、木の物がよろしいです。包丁の切れ味を痛めません。
しかし、これも家庭で使うには、衛生面などのメンテナンスが少し面倒です。

衛生面と価格を考えて、普通に売っている樹脂製の物でも可とします。硬すぎる材質で無ければ、安物で良いでしょう。

合成ゴムのまな板

もし優れもののまな板が欲しい場合は、最近少しづつ人気が出てきている、合成ゴムのまな板はどうでしょう。
樹脂製に比べ、さらに衛生的で、汚れがあまり付着しません。包丁を痛めませんし、傷もあまり付きませんし、傷が増えても削り治しができます。(まな板削りはたいてい付属しています。)

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