電気ブランにシビレて

電気ブランって知っていますか

電気ブランって言う、幻のお酒を知っていますか。知っている人は、相当な酒飲みでしょうか。それとも相当なお年寄りの方でしょうか。

電気ブラン。。。奇妙な怪しげな名前です。実はワインの製法を日本に伝えた神谷傅兵衛(伝兵衛)氏による、ブランデーベースの120年前のカクテルです。

もちろん日本生まれの日本で始めて作られたカクテルです。配合は、ブランデー、ベルモット、キュラソー、ジン、ワインなどですが、詳しい製法は今でも秘密になっているようです。

電気ブランデーと言うのが、語源らしいです。当時はハイカラな物に電気***と、命名するのが一種の流行だったようです。そのため、電気のように痺れると言うことも相まって、電気ブランデー、略して、電気ブラン、又はデンキブランと呼ばれました。浅草の神谷バーの名物的存在でした。当時の小説などにも神谷バーの電気ブランは登場します。

アルコール度数は当時は45度。今でもほぼ当時の儘の製法で少量ですが作られていて、40度と30度の製品があります。ほぼって何? 調べて見ました。

どうやら、当時はアブサンも配合されていて、その成分のツヨシが神経毒、麻薬類似物質。その非合法の成分は、今では抜いているということです。(注、ツヨシの毒性が過大に評価され、多くの国で非合法になっておりましたが、現在では成分量にもよりますが、概ね合法的な存在です。)

味と飲み方

不思議な味です。人によっては、おや?、人によっては、やみ付きになる味でしょうか。甘みがあって、味と香りは薬草のような、ちょっとミントの配合されたような感じです。強いですが、なぜか飲み易いお酒です。ズブロッカとか、ベルモット、ちょっと養命酒のような感じが嫌いでない人には、それとジンのカクテルが好きな人には、かなり気に入るのかも知れません。

当時はビールをチェイサーにして、交互に飲むのが通と言われたようです。お湯割り、炭酸割りもよいそうですが、ビンごと冷凍庫で冷やして(度数が高いので凍りません)、どろりとした感じで、ストレートグラスで飲むのが、いけると思います。小さなストレートグラスでも結構な満足感があります。

一言で言うと、レトロ。文明開化の明治、大正の甘くせつないレトロな味です。そうとしかいいようがありません。
うんちくと共に、ちょっとした洒落た贈り物にもいいかも知れませんね。一本、千円ぐらいですから、皆さんも機会があったら、話しの種に飲んで見るのもよいでしょう。

電気ブランを見てみる。

神谷傅兵衛略歴

安政3年、三河国(現在の愛知県東部)生まれ。幼名松太郎。
明治13年、みかはや酒店開業。
明治14年、輸入ワイン等のブレンドによる日本人向けワインを製造。
明治15年、速成ブランデー(電気ブランの前身)製造販売。
明治19年、蜂印香竄葡萄酒がフランスの博覧会で金賞を取る。
明治24年、電気ブラン完成。
明治27年、養子伝蔵をフランスへ葡萄栽培研究に派遣する。
明治31年、神谷葡萄園設立。
明治34年、ワイン醸造開始。
明治36年、日本初の本格的ワイン醸造場、シャトーカミヤ設立。
明治45年、神谷バー開業。