食器の知識と選び方
料理は器からと申しますが、素敵な食器は、食卓を彩り、語らいを楽しくするだけで無く、食事の味もよくします。
高級食材を使った料理でも残念な食器ですと、すべてが台無しです。
そして、スーパーの特売、見切り品でも、あり合わせの残り物でも、即席料理でも、食器が豊かですと、豪華さも一段と引き立ち、味も含めてさらに数段引き立ちます。
良く言われることですが、人は目でも味わうのです。
業務用の食器というのは、大衆食堂などを除いて、見栄えの良い物を使います。
食材経費を少々アップさせるぐらいなら、食器をアップさせるほうが対費用効果が高いことをプロはよく知っています。家庭でもこの知恵を生かしましょう。
いつもいつも、どんな時でも、黙っていても実力が嵩上げされるのが良い食器の妙です。数レベルアップのマジックアイテムを身につけているようなものですね。
では、高級品で様々に揃えれば良いのかと言いますと、家庭はレストランでも料理店でもありません。経費の面でも収納スペースの面でも、使い勝手の面でも望ましく無いと思います。しかし、やはり良い物を使うことは必要です。
つまり、良い物で、多目的に使えるものを少量の種類だけ持つということが、合理的でよろしいかと思います。
ここでは、食器やカトラリーのお得な家庭内での組み合わせ方を大まかに解説します。
大まかと言いましても、抽象的な解説をしても仕方がありませんので、選び方の手引きとして具体的なお話をいたします。
ただし、あくまで1例ですので、参考だけにとどめてご自分で勘案していただければ幸いです。
まずは材質や形状、色や種類の解説から簡単に述べて、本題に入りたいと思います。
食器の材質
陶磁器
食材や食品と言うのは、酸やアルカリに満ちていて、塩分なども豊富で物を酸化させやすい性質があります。
陶磁器の良いところは、材質に変化が無く、食事の味を変えず、永遠に保つことです。
陶磁器は、割ったり傷つけたりしなければ、千年でも二千年でも保ちます。
結婚式の引き出物などでは、割れるのは縁起が悪いと嫌われる向きもありますが、むしろ陶磁器の産地なとでは、永遠に保つという事で重用されます。
陶器は暖かみや保温性がありますが、家庭内で使うには扱いやすい磁器を中心にすればよろしいでしょう。
ただし、やはり、割れやすいので、割れて行くと、数が半端になって使いにくくなります。
気に入った物は、始めから人数分の倍ぐらいの数を買っておきましょう。
磁器の保管はベランダや軒先で新聞紙にくるんで置いても良いのですから。
金属食器
熱伝導率が高く、物によっては金属臭が料理に移り、食器には不向きな物です。利点としては割れないと言うことがあります。
銀食器が有名ですが、もともと砒素化合物の毒が盛られた時に曇って発見しやすいという意味と、きらきらとした豪華さで一部の人々の間で使われたこともありますが、不向きであることに変わりはありません。
空気中その他の硫化物によって、すぐに曇りますので、手入れが大変です。お金持ちが銀食器を使うのでは無く、銀食器を維持できる人がお金持ちです。つまり、磨いてくれる人でもいない限り、銀食器類を主に使うことはかなり無理があります。
その他、洋白やチタン製や銅製、錫、ステンレスなどもありますが、家庭内で使用すると言うことに対しては、一般的には考慮する必要のないものと判断しています。
ただし、カトラリーはステンレス製を使います。
木製食器
木製の食器は温かみもあり、熱伝導が低いなど、優れた資質もありますが、現代では電子レンジで使えない(傷む)という事が一番の欠点です。
汁椀などでよく使われますが、ワンポイントに利用することが適切でしょう。
プラスチック
割れないという利点がありますが、ポリカーボネート樹脂からのビスフェノールAの溶出など、環境ホルモンの問題もあり、また食事の味を低めるという点に於いてもあまりお奨め出来ません。
ただし、プラスチックに漆を塗った汁椀を利用することは合理的で、現状では適任になります。また、幼いお子さん用食器などに使った場合、割れにくい、軽いと言う特色があります。
お子さん用でもプラスチックは使いたくないと言う方には、安価なものでは、軽く重ねやすく、やや割れにくい磁器食器に航空食器があります。
旅客機の機内食用で、場合によっては使い捨てにする物ですので、安価に売っています。
割れにくいと言う事では強化磁器のほうがよろしいでしょうが、やや高価です。
またコレールのような積層強化ガラスは、もし万が一割れたときには、破片が飛散しやすく微細で鋭利であり、爆弾を抱えているようなものですので、あまりお奨めしません。
プラスチック食器、航空食器(磁器)、強化磁器食器、積層強化ガラス(非推奨)
ガラス製
コップ、デザート皿などによく使われます。
固くて衝撃に弱く、熱に対しても割れやすいと言う欠点があります。コップなどを除いて、夏の季節料理やデザートなどでピンポイントで利用されます。
食器の色と効果
色は人の心理状態や感情に及ぼす作用があります。食で言えば、食欲を増進させる色や減退させる色などです。
基本的には、暖色系が食欲を増し、寒色系が食欲を減退させます。
そして、濃い色は食欲を減退させ、淡い色は増進させます。また、食材の補色(反対色)が食材を引き立てます。
白などで食器の色を統一させるとおしゃれに感じる方もいらっしゃるかと思いますが、食器を食材の色と同じにすると、食欲を減衰させ、美味しく感じられなくなります。クリームシチューや豆腐などには白はあまり相応しくありません。
ですから、色を揃えたい場合でも、少しは違う色の食器も用意するか、数ある食材とあまりかぶらない色の同色系で揃えることを考えます。
今では、オッ クスフォード大学の研究などを始め、色々なところで色と食欲の関係が研究され、様々なことが分かってきていますが、それを踏まえながら私の意見にも言及します。
透明
材質はガラスなどですが、内面的に氷のイメージが心的複合体になっていて、目で見た感じが冷たく、熱いものを乗せると違和感を感じます。
サラダなどや水菓子、氷菓子、冷やした果物、夏の冷たい麺類などに適します。その他、夏の少量の漬物などのピンポイントの利用が適しています。中身が分かりますので、保存容器としてもよく使われます。
白色
普通に選べば、食器の基本的な色になると思います。和洋中のほとんどの分野の料理に合います。
研究では白に盛ると10%甘みを強く感じる特徴があります。
デザートや果物などは変に凝らずに、シンプルな白い容器が良いのかも知れません。
黄色
黄色は暖色系の代表で、実りの色でもあり、食欲を増進させる色です。
明るい、華やか、活発さを表しますし、幼稚さ、軽率、注意なども意味します。
生理的には、高揚させる色で、卵の黄身やカレー、バナナ、菜の花など、美味しさを感じさせます。
ただし、食器として使うには、落ち着きや高級感がやや出しにくく、難しい色です。ピンポイントで使いましょう。
赤色
一色の赤のような食器は、食欲を押さえます。また塩味などの味付けも薄く感じます。ですから、強い赤はダイエットに向きます。
赤色は心理学的に危険や禁止を意味しますので、この系統の色を使う場合は、ピンク系に近い薄めの色、もしくは絵柄に赤が少し入っている感じのものが良いでしょう。
暖色系にはなりますので、気分が高揚し、語らいが弾みます。
青色
こちらも食欲を減退させ、ダイエットに向きます。また赤とは逆に、塩味などの味付けは濃く感じます。
青色は生理的に感情を沈静化させる色です。不安や寂しさ、また、知性、信頼感、誠実なども意味します。
食欲というのは生理的な欲求です。使い方にも依りますが、青は赤より食器には難しい色です。ピンポイントで使います。
沈静色にもなりますので、ダイエットには赤色よりも向くでしょう。
緑色
緑は、安心感、くつろぎ、鮮度などを表します。自然の色で黄色、茶色などと同じく、食材に多い色です。
目に優しい色で、ものを美しく見せます。トマトや人参などの赤や黄色の食材、鮮度を強調したい刺身などにも合います。
ただし、葉物類は同色になり、やはりワンポイントで使います。
茶色
温和、安定、伝統などを意味します。ただし、地味で華やかさがありません。
風水的には、家庭運も意味し、無難な色です。
大地の色や実りの秋の色でもあり食器にも最適ですが、無地の茶色一色などは、枯れ、泥もイメージしますので気を付けます。
お刺身などを盛りますと、鮮度が悪いようにも感じられます。
黒色
この器に乗せた食材は、高級感を感じさせます。
黒は後退色で乗せたものを引き立て、極限や神秘さなども感じさせます。
ただし、この色は孤独や暗さもイメージしますので、黒一色は薦めません。
黒に金があしらわれていたり、黒地に何かの模様があるものか、黒系統ものが相応しいと思います。
食器の系統
食器はなるべく良いもので、利便性と経済性の観点では、種類は少なく数はやや多く持つという事が大切です。
和食器や洋食器、中華食器など様々なものがありますが、日本の家庭内で使うことを考えると、和食器と洋食器が中心になるものと思います。
しかし、すべてを揃えることは出来ないと言う前提で、お話しします。
ライフスタイルや年代、家族構成にも依りますが、お奨めするのは、和食器中心で、少しの洋食器です。
なぜなら、和食器は洋食を盛っても違和感がなく、むしろ引き立てます。洋食器はものによって和食に合うものもありますが、合わないデザインが多いようです。
織部の器にシチューが入っていても、いや、むしろおしゃれです。しかし、洋食器のお皿に秋刀魚の塩焼きはあまり合いません。
イメージして見てください。
洋食器系統で揃えたい場合は、模様が和食にも違和感がないものを中心に、又は北欧食器で揃えるとよろしいでしょう。
また、モダン和食器と言われるものがあります。
モダン和食器は、やや俗な言い方で、特に厳密な定義があるものではありませんが、現代風にアレンジしてある和食器で、和洋中どのような料理にも合いやすくなっています。
具体的には、この器に、麻婆豆腐を盛っても、肉じゃがを盛っても、シチューを盛っても、それぞれ違和感がないかをイメージして見て下さい。
もちろん、洋風の食器もいくつかあったほうが良く、それぞれ用途を勘案して下さい。
たっぷりと収納できる食器棚を持っている方は別にして、まずは汎用性のある良いものを出来るだけ揃えることが大切です。
なぜなら日々の食事は、様々な料理の組み合わせで出来ています。どのような組み合わせにも対応、応用が出来るものでないと、不便な食器、あるいは合わない食器に盛らなければならなくなります。
食器の大きさ
食器は概ね大きさの段階があります。半端な寸法はありません。
和食器では寸単位で、洋食器ではインチ単位になります。ただし、双方とも陶磁器の場合、焼き加減で大きさが変わりますので、かなりアバウトです。
和食器
和食器の大きさの基準は、寸(すん)です。1寸は、30.303㎜で、約3㎝です。
センチも併記されることがありますが、概ね覚えておきましょう。
6寸皿と言えば、直径約18㎝ぐらいのお皿です。18㎝のお皿と言うより、6寸皿と言った方が玄人っぽくて、おしゃれですね。
また尺皿と言うのは、一尺のことで、尺は寸の10倍ですので、30㎝ぐらいの大皿になります。
洋食器
洋食器はインチで表す場合も多く、1インチは、25.4㎜で、約2.5㎝です。
8インチ皿と言えば、直径約20㎝ぐらいのお皿です。
洋食器は、和食器ほど無数の種類や大きさはありません。ディナー皿、ミート皿、パン皿などがあります。
ディナー皿にメインディッシュと温野菜を盛ったり、パンとサラダを一緒に盛ったりということも普通にします。
和食ではこういうことはあまりしませんので、どうしても和食器は種類が多くなります。
和食器を中心に揃えるということは、このような点も考慮に入れていますが、洋食器の使い方は非常に参考にもなり、和食器でもこのような使い方が出来ない訳ではありません。
組み合わせの例
あくまで考え方の例示ですので、具体的には実情に合わせて読み替えて下さい。
なるべく兼用して少ない種類を使うと言う観点での考え方を例示しますので、そうしなければならないということでも、推薦しているということでもありません。
ライフスタイルにより専用品が必要だと思われた場合は、そのようになさって下さい。
カトラリー
カトラリーとは、本来は刃物の意味ですが、慣習的にスプーンやホークなども含めて、食事に使う金物類をさします。
普段はお箸が中心で、たまに使用すると言った一般的な日本の家庭を前提に書きます。
カトラリーの材質
ホークやナイフやスプーン類は、ステンレス製のものになると思いますが、18-8ステンレス以上のものが相応しいです。
これはJIS呼び名SUS304で、クロム18%、ニッケル8%、残りは鉄のステンレスです。
SUS316の18-12などもあります。概ねこの数字が多いものが高価ですが、18-8で充分ですし、ほとんどがこれです。
SUS430の、18ステンレスも出回っていますが、こちらはニッケルを含まないもので、耐食性に劣ります。
外国製などでさらに粗悪なステンレスもありますので注意して下さい。
木製のものもありますが、用途が限られます。
カトラリーの組み合わせ
カトラリーは、セットになっているものがありますが、日本のものは、ディナーフォークやディナースプーンなどの代わりに、デザートフォーク、デザートスプーン、デザートナイフなどをセットにしています。
もちろん、これで概ね正解です。
日本人には正規規格のディナーフォークやディナースプーンは大きすぎて、合わないことが多く、外国製品を直接購入するときには、サイズに気を付けて下さい。
もちろん、サイズ以外の違いはありませんし、ディナーとデザートとなっているように本来は料理により使い分ける物です。
しかしながら、様々な用途に使える汎用性を日本の家庭で考えると、やはり日本で一般的に使っているデザートフォークなどが最適です。
レストランで食事をされる場合は、料理によりレストラン側が選んでくるはずで、当たり前ですが、必ずしも大きい手だからディナーフォークを使うと言うわけでもありません。(もちろん、デザートフォークと言う名称でもデザート専用と言うわけでもありません。)
さて、食事用の他に、コーヒーなどのスプーンと、フルーツフォークか、ケーキフォークが必要です。
小さめのスプーンには、ティースプーンやコーヒースプーンなどがありますが、私はティースプーンの一種類で結構だと思います。
コーヒースプーンは小さすぎてコーヒー以外に用途がなく、ティースプーンはコーヒーにも使え、アイスクリームやプリンなどにも使えます。
メロンスプーンやアイスクリームスプーンなどはティースプーンで代用し、普通は用意する必要はないでしょう。
フルーツホークは、少し大きめのものか、ケーキフォークを購入すると、他の用途にも使えます。フルーツナイフは必要がないでしょう。切った果物などは、つま楊枝で十分という方は要りません。ケーキなどはティースプーンでも代用できます。
取り分けなどに使うサービススプーンやサービスホークは、デザート用で代用しても良く、そもそも日本の家庭では使う機会はあまりありません。
スープスプーンはデザートスプーンで代用しても良く、お好みで、後はバター用のバターナイフが一本あればよろしいでしょう。
メーカーは好き好きになるでしょうが、日本製で定評のある有名なブランドにLUCKYWOOD(ラッキーウッド)があります。
シリーズによっては、それほど高くありませんし、有名なレストランでも使っています。
ラッキーウッドに限らず、同一シリーズで持つとおしゃれです。
皿類
お皿は、ライフスタイルによりますが、大きめのお皿、中ぐらいのお皿、小皿、たれ皿、醤油皿が必要でしょう。
和食器には手作りでひねりの入ったものもありますが、これは重ねにくいものもあり、収納に不便ですので、注意して下さい。
また、食器自体の厚みも収納時に影響します。
重みの点でも厚みのあるものを避けることを薦めている人も多いのですが、厚くても土により軽い物はありますし、厚みのある食器のほうが優雅で強度があることも事実です。
実情に合わせて勘案して下さい。
大皿
大皿は、洋食でも違和感がない和食器で選んでも、和風にも使える洋食器で選んでもよろしいでしょう。飽きの来ない物でなるべくまとめると、収納が楽です。
大きめのお皿は、思いきって一種類で済ませることも出来ます。
直径二十数センチの8寸皿から9寸皿ぐらいの和皿、もしくは、10インチ前後のミート皿で、パスタ、焼きそば、カレーライス、ステーキ、焼き魚などをすべて兼用することも出来ます。
この場合、全くの平皿でなく、少し縁が上がっているものを選びます。カレーライスは平皿やプレートに盛る場合もあり、少し周囲が盛り上がっていれば充分でしょう。
スープなどには後述する鉢類を使います。
直径二十数センチほどで、縁(リム)の付いたスープ皿は、カレーやパスタなど、多目的に使えますので、このようなスープ皿のみで兼用することも可能ですが、その場合はステーキなどはやや大きめの中皿を用意します。
もちろん、使用感にもよりますが、構わずスープ皿を使うことも出来ます。
二種類の大皿を用意する場合は、浅めの平皿と深めの皿で、浅めの皿をステーキ、焼き魚などに使い、深めのお皿をカレーライスやパスタなどに使用します。
浅めと深めの皿ではなく、平皿とスープ皿の二通りを選ぶ選択肢もあります。
この場合、スープ皿は、カレーライスやパスタや焼きそばやスープなどに使い、平皿は、ステーキ、焼き魚などに使います。
また、もっと大きな尺皿ぐらいの大皿が一枚か、二枚ぐらいあると、鍋物の時の食材の盛り付けに使えます。又は取り皿に取り分けて食べるような料理を盛る皿にも使えます。
このような皿は、収納が出来るサイズで、テーブルに置いて邪魔にならないサイズで最大なものを選ぶと良いでしょう。
角皿もありますが、大きめのお皿は角を欠かす恐れもありますので、丸皿が良いでしょう。大きな長方形の角皿は長めの焼き魚などに使えますが、汎用性にやや欠けます。
ディナー皿、ミート皿、スープ皿、
刷毛巻シリーズ8寸皿、渕錆粉引ディナープレート
中皿
6寸から7寸ぐらいの中皿があると便利ですし、必要です。餃子や刺身、切り身の焼き魚、煮魚、大きめの取り皿としても使えます。
これは平皿でよろしいでしょう。
特に必要とされる方は、お刺身用などに角皿も揃えてもよろしいでしょうが、やはり角皿は汎用性に劣りますので、こだわりがなければ、特に必要はありません。
小皿
4寸~5寸ぐらいの小皿は汎用性があるデザインのものが良いでしょう。
漬物や海苔を乗せたりも使いますし、ケーキやおまんじゅうなどの御菓子類を乗せたりも出来ます。
また、取り皿としても必要です。
大きさやデザインを少し変えて、二種類用意しても良いでしょう。
豆皿
3寸~4寸ぐらいの小さなたれ皿も必要です。たれ皿というのは、餃子のたれや焼き海苔などのつけ醤油などを入れる小さな平皿です。ある程度大きめな食品につけるたれを入れるものです。
これは少し大きめにして、小さめの取り皿として使えるものにしてもよろしいでしょう。
このたれ皿は、ほんの少しだけのお漬け物やつまみなどを乗せる皿としても使えます。
又、2寸~2.5寸ぐらいの豆皿はお刺身の醤油入れとして使えます。
お刺身の醤油皿は、毎日使いませんので、専用のものでなく、また、たれ皿のような大きめの平たいものは使いにくいので、この程度の小皿か、珍味鉢と兼用させるのが良いでしょう。醤油の節約を考えるなら、底が平らでなく、ややすり鉢状のものにすると良いでしょう。
このぐらいのものなら、海鮮丼の醤油皿にも使えますし、珍味入れや少量の漬物、そうめんなどの薬味入れなどにも使えます。
豆皿は手塩皿とも言い、特に小さな皿ですが、たれ皿として使える程度の大きさの平皿の物と、お刺身醤油皿としても使える程度の少し深めの物を用意されるとよろしいと思います。
鉢類
皿の他に深さのある鉢類が必要になります。
洋鉢と和鉢がありますが、皿類と違い、和鉢は洋風のデザートなどには合いにくい場合がありますので、基本は和鉢で、洋鉢も用意するとよろしいかも知れません。色々なものに使える物を多用鉢と言いますが、そのようなものでもよろしいでしょう。
大鉢
大鉢は、人数分は必要ないかも知れません。その場合、料理をどんと盛り付けるものに使います。後は取り皿に取って食べます。
煮物や麻婆豆腐などを入れる和風のものと、サラダ用に洋風、又はガラスのものがあると良いでしょう。
ガラス製の10インチ(約25㎝)ぐらいの鉢は、サラダ用にも、そうめんなどを冷水と共に入れる器にも使えます。
すべて銘々小分けにして盛り付けて、サラダや料理を大きく盛り付ける習慣のない家庭では大鉢は必要ありません。
その場合、少し小さめのガラス製の鉢を人数分用意してそうめん入れに使うだけでよろしいでしょう。
中鉢
5寸~7寸ぐらいの中鉢は、煮物を盛り付けたり、サラダを個別に盛ったり、シチュー容器、グラタン皿と兼用できます。
洋風料理にも使えるデザインの和鉢がよろしいでしょうか。7寸ぐらいの中鉢は、パスタボールやカレー皿としても使えます。
小鉢
鍋物の時に鍋から取って小分けにして食べたり、天つゆを入れる器を呑水(とんすい)と言いますが、これは汎用性に欠けます。
小鉢は、汎用性を考え、とんすいより少し大きめな、とんすいを兼用できる小鉢が良いでしょう。3.5寸~4.5寸ぐらいと思われますが、好みによって中鉢ぐらいの大きさのものでもよろしいでしょう。
ものによってはグラタン皿としても使えます。ラーメンのつけ麺の付けスープ入れにも使えます。
小鉢は、時には器を手に持って食べることが前提になる容器です。皿に盛るか、小鉢に盛るかを迷った場合は、この事を思いだして下さい。
その他に上記のものより少し浅めの洋食器の小鉢のような(フルーツソーサー・サラダソーサー)もありますと、デザート類に使えます。
杏仁豆腐やフルーツポンチ、みつ豆のようなもの、ゼリーやゼリー寄せ、アイスクリーム類、缶詰の果物入れなど様々なものに使えます。
これはガラス製でもよろしいのですが、甘みを強く感じる白もよろしいでしょう。
珍味鉢
そして、もっと小さな小鉢、ミニ鉢と言ったり、珍味鉢と言ったりします。
少しのもずく酢や胡瓜などの酢の物や珍味、浅漬けや小さな果物入れに最適です。
これを浅めで特に小さめなものにしますと、お刺身醤油皿としても兼用できます。
お刺身醤油皿を兼用するには、2寸~2.5寸ぐらいの小皿のほうが相応しいと思いますが、良い物があれがこちらも選択肢になります。
麺鉢・丼鉢
収納にスペースを取りますので、麺鉢と丼鉢は共用されるのが合理的です。
5寸ぐらいの麺を入れてもご飯を入れてもおかしくない物で、積み重ね易い物にしましょう。
ラーメン鉢のように口が広いものは丼用には不向きです。奥行きがあって口が狭すぎる物は重ね置きが出来ない物もありますのでご注意下さい。
デザイン的には色々な物があります。ラーメンなども特にこだわりがなければ、和物の鉢類や丼類用でよろしいでしょう。和物で少しポップなデザインが良いかも知れません。
もちろん、こだわりが無ければ蓋付きのものは特に必要ありません。鰻丼などで少し蒸らしたい場合は、ラップで代用できます。
椀類
碗は、鉢よりも少し深い物を言います。
汁椀
陶磁器では重くなりますし、熱いので、汁椀は木製のものやプラスチックのものが主流です。
好みになりますが、椀のまま、電子レンジで温め直すことを考えると、プラスチックに漆塗りや樹脂塗装をしたものが最適です。
ただし、電子レンジの使用が頻繁でなければ、木製でもよろしいと思いますが、電子レンジで割れてしまう可能性もあります。
茶碗
茶碗は、用途が限られますので、好みになります。
しかし、ご飯茶碗はお茶漬けや卵掛けご飯のことも考えて、少し大きめにしておくとよろしいでしょう。お茶漬け碗などを用意するのは繁雑です。
又は、思い切って小丼碗を使うことも合理的です。男性なら特に違和感もありませんし、女性でもお代わりをしなくても済みます。
小丼碗がありますと、普通におかずを並べて、ちょっとしたミニ丼やミニうどんをご飯代わりにおしゃれに出したりすることも出来ます。
いずれにしてもご飯茶碗はお揃いの物でそろえる必要はありませんので、銘々自分に合ったマイ茶碗にすればよろしいと思います。
湯呑茶碗
湯呑茶碗は、嗜好品ですので、お好きなものでよろしいでしょう。
珈琲茶碗は、普通はコーヒーカップと言いますが、茶碗の一種です。こちらも好みでしょう。紅茶は普段あまり飲まない家庭では、コーヒーカップと共用出来ます。
蒸し茶碗
茶碗蒸しを作る容器です。こちらも好みのものを揃えられると良いでしょう。
もし茶碗蒸しをほとんど作らない方は、他の容器で代用も出来ます。蓋がないものなどでは、蒸すときにアルミフォイルなどで蓋を作って下さい。
丼碗
麺鉢・丼鉢で言及しましたが、丼碗の専用のものが必要ならこちらをお使い下さい。
その他の器
小さな器のことを猪口(ちょこ)と言います。
お猪口と言えば、酒器の器のほうの事ですね。
蕎麦猪口は、お蕎麦の付けつゆを入れるものですが、これはほんの少し大きめにして置くと、そうめんにもざるうどんにも使えます。
酒器の徳利などは、電子レンジでお酒を燗する場合は、口の広いものでないと温度センサーがうまく働きませんので、注意しましょう。
又、器の猪口は徳利とお揃いが相応しいですが、ぐい呑みなら何を使っても、ばらばらの種類でも、おかしくありません。
レンゲはスプーンで代用できますが、麻婆豆腐や中華飯などを良く作る家庭では、あったほうが良いかも知れません。
箸置きは、最近では使わない家庭もあるかもと思いますが、お客さんが来た場合は必要ですので、揃えましょう。
普段使わない方は、花や動物などの小さな置物のような形の素敵なものにすると、いつもは飾りとして使えます。もしくは小物の飾りで箸置きにもなるものを持っておきます。
普段は棚や玄関の飾りに使い、滅多にないイベント時に洗って箸置きに出来ます。
また、お茶を入れるのに急須が必要です。
急須の側面の全周囲にお茶っ葉のための網があり、固定されている帯網(帯板網)式を薦めます。洗いやすいですし、お茶っ葉が棄て易く、ろ過性能が格段に違います。
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