日本のお盆は仏教行事(だけ)ではありません。
お盆とは?
仏教行事の盂蘭盆会(うらぼんえ)であるという説明がなされる場合もありますが、それだけではありません。
実は本当の所はよくわからないのです。そもそも仏教には祖先の精霊がお盆に帰って来るという思想はありません。
どうも日本のお盆は祖先崇拝や民俗信仰の御霊祭に仏教の盂蘭盆会が融合して出来たもののようです。
お盆の時期
現代では8月15日がお盆とされる事が多いようですが、7月15日に行われる地域もあるようです。もちろん本来は旧暦の7月15日であり、今でも旧暦によって行っている地域もあります。
旧暦のお盆では夏の終わりであり、秋の始まりの満月の日です。正月と対比する位置関係になります。小正月が1月15日の満月ですね。
古来はこの二つの時期に祖先の霊が子孫の所に来て交流するという行事があったそうです。
盆踊り
さらに分からないのが盆踊りです。もちろん仏教の本場のインドや中国には存在しない風習です。
元々はもちろん満月の日であったお盆に夜通しで踊りました。
そもそも日本の祭は夜に行われる事が多く、やはり古来からの日本の風習が加わったようです。
旧暦の7月15日の満月の夜に日本中で踊られていたと考えると、なにやら不思議なものを感じます。
もちろん15日だけでなく、郡上踊りのように2ヶ月間にも渡って踊られる事もあります。祇園祭(京都が有名ですが夏祭りとして日本中に存在します)は、もっと発祥は古いのですが、この時期に行われるわけで、踊り(現在ではほとんど盆踊り)が行われています。
日本の風習
お盆は日本の風習ですが、他にも色々な物が融合しているようです。
旧暦ではお盆の入りの数日前に七夕があります。一対のものと考えるのが自然な流れです。
七夕では年に一度の彦星と織姫の再開です。更に七夕で飾られる笹は祖先の霊が宿る依り代(よりしろ)と考えられています。
お盆は祖先の霊との再開であり、遠い所に離れて暮らす人々との再開でもあります。
七夕で願いを書く五色の短冊は陰陽五行説の五行の色ですし、京都の大文字の送り火は、元々は大の字ではなく、星型であり、五行を現しています。大文字の送り火参照。
また、盂蘭盆会(うらぼんえ)には、魂を意味するイラン語のウルヴァンが語源であると言う説があります。
盆には古代日本語の供養する物を乗せるぼにから来ていると言う説があります。物を乗せるお盆(おぼん)の語源です。
とにかくお盆の事はまだよく解っていないのです。
しかし、大切なものであったことは確かですし、これからも日本の大切な行事であるのは確かですね。